開票の日
昭和16年の「初等科修身」から開票の日という文字が入ってきました。
そこには、当時の選挙の話が書かれていました。小学5年生で習います。
開票の日
前略
「お父さんも山川さんに投票なすったのでしょうか」
「いやそれは言うべきことではない」
何でも教えてくれる父が、このようなことになると、いつでもはねつけるようにする。
父は、少し改まった調子になった。
「道雄。選挙というものはね、これと思う立派な人を自分で決めて、自分で投票するものです。みだりに人に聞いたり、聞かれたり、いわんや人に頼まれたりしてはならないものです。
そんなことをするようでは、結局人情や欲に目がくらんで、本当に立派な人物に投票する、という精神に反することになる。これは、大事なことだから、よく覚えておきなさい」
中略
「この前、とかく噂のあった人は、一人も入っていませんね」
「ああいう連中が今度も出るようでは、選挙もおしまいだよ。何よりも棄権者が殆どない。選挙人の自覚の現れだね」
「あなたのように、旅行先からわざわざ帰って、投票なさる方もあるのですから」
「いや、もっともっと、関心なのがあったよ。中風で、足もろくろく立たないおじいさんが、おばあさんや若い人に連れられて行っているのを見て、私は思わず涙が出た」
「本当に感心ですね」
「ああいう風に、皆が選挙の義務という事を強く感じれば、選挙は自然真剣になる。今度はその真剣のたまものだ」
本来の姿ってこういう事なんですよね。
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